「日本の街や住まいをもっと面白くしていきたい」という思いから、業種・職種の壁を超えて様々な取り組みをされている、株式会社スピーク様。今回は個人住宅の新築物件に、ミャンマーチークのマルチレイヤー（挽板）を御採用頂きました。

流し台まで備えた広々としたテラスが特徴的なこちらのお宅では、計画段階で「ＬＤＫとテラスを連続した空間に見せたい」という御相談を頂きました。
土足文化の国々では、メルバウのように水湿に強く腐りにくい材で室内外をひと続きにする例も見られますが、靴を脱いで室内に上がる日本ではなかなか同材でまとめるのは難しいところ。そのため、お使いになるデッキ材と大きく色味や表情がかけ離れない、南洋材のチークでまとめることになりました。

ミャンマーチークといえば『世界三大銘木』の一角、美しい経年変化や優れた耐水性・耐久性・防蟻性・寸法安定性などで「木の王様」として知られていますが、その高い人気と需要により、流通量は年々減少しています。こちらの『マルチレイヤ―』は、そうした銘木の２mm厚単板を使用した複合（合板）タイプで、一般にイメージされる「コスト削減」だけでなく、稀少で貴重な資源の限られた供給に対し、少しでも負荷を減らす役割が期待されています。厚単板を使用することで、仕上がりは無垢材とほぼ遜色なく、経年による色変化や日々の使用により風合いが深まっていく様子も存分に味わえます。

吹き抜けによる高低差を活かした開放感あふれるＬＤＫ、寺院や美術館の回廊を思わせるデッキ脇の廊下、効果的に配置された開口部からの柔らかな光など、心配りが行き届いた知的な雰囲気が漂う空間。壁面の異素材ともしっくりと馴染み、上品さのなかにも自然素材の力強さや野趣を感じさせるミャンマーチークの表情が、他の材にはない独特の風格をお部屋に加えています。

設計:株式会社スピーク