自然素材を使ったナチュラルな家を作りたい方にとって、無垢のフローリングは憧れの存在とも言えるのではないでしょうか。フローリング材として使われる木にはさまざまな種類があります。中でもアカシアは、建築材・家具材として商業植林が開始されていることから需要が高まっている、今注目のフローリング材です。
今回は、アカシアの無垢フローリングの特徴についてご紹介します。
一口に木と言っても、ダークブラウンから淡いベージュ、赤みがかったブラウンから黄みがかったブラウンまで、実にさまざまな色合いがあります。アカシアは赤みも黄みもさほど強くない、落ち着いた印象の色です。木の中心部分と表皮に近い側では色の濃さが異なり、中心部はダークカラー、外側の部分は明るい色になります。
アカシアはまっすぐ縦に走る木目に、ところどころ渦巻く模様が特徴です。無垢材は自然のものであるためどれ1つとして同じ柄はなく、世界に1つだけの柄を楽しむことができます。他の樹種でアカシアによく似たパターンを持つものは、高級木材として人気の高いウォールナットです。濃いブラウンの塗装を施して、ウォールナットに近い色にすることもできます。自然塗装で仕上げれば手触りもさらさらと気持ちよく、ホッと落ち着ける空間を作り上げてくれます。
無垢材は自然の木であるため、湿気があれば伸び、乾燥すれば縮みます。これが調湿作用として働き、過ごしやすい室内環境を作ってくれます。ただ、施工した時に見積もっていた余裕を越えて木が伸びると、どこかが浮いてしまいます。反対に極端に縮んだ場合は、隙間ができてしまいます。フローリングはそう気軽に取り替えるわけにはいかないため、長く美しさを保つことができるかどうかは重視したいところです。
その点、アカシアは比較的、寸法安定性が高いという特長があります。濃淡のある柄で汚れも目立ちにくいため、住宅だけでなく、店舗や来客の多い事務所にも使用できます。ダンススタジオなどにも使用することはできますが、V溝(糸面)がある商品は、ヒップホップダンスなどは問題ありませんが、ソシアルダンスなど足を床につけたまま動かすタイプのダンスは使いにくいかもしれません。
また、アカシアは腐りにくい性質も兼ね備えています。その頑丈さが評価され、アメリカの西部開拓時代には駅馬車の車輪や車軸としても使用されていました。古くから上質な木材として認知されており、さらに時代をさかのぼった古代エジプトでも、家具や工具の材料として使用されていたと言われています。
現在もフローリングだけではなく、船や構造材、ウッドデッキから家具、食器に至るまで幅広い用途で使用されています。カッティングボードやトレイなど、アカシアでできたキッチン雑貨も多くあります。まずは身近な雑貨からアカシア素材を取り入れてみても良いかもしれません。
アカシアは成長スピードがとても早い木です。木材として伐採できるようになるまでに、10年も掛かりません。天然のものを使う無垢材はどうしても値段が高くなってしまいがちですが、何十年も掛けて育てる木に比べて、比較的手に入れやすい価格帯であることもアカシアの魅力です。
原産は北アメリカですが、近年ではインドネシアやベトナム、タイを中心とした東南アジアでの商業植林が増えています。そのため、アメリカやヨーロッパから運んでくる他の樹種よりも輸送のコストが掛からず、リーズナブルな値段で販売されています。
深みのある色合いが魅力的なアカシアの無垢フローリングについてご紹介しました。これまで日本ではあまり知られていなかったアカシアの無垢フローリングですが、最近では輸入量も増え、ポピュラーになりつつあります。フローリングの新たな選択肢の1つとして、ぜひ覚えておきたい樹種と言えるでしょう。